最近流行の名前の読みについて思うこと・追記2
昨日、産経新聞の投書欄に、「願いのこもった名前に感謝」と題する文が掲載された。これも、先月23日に掲載された歯科医氏の「難読名前は子供に迷惑では」に対する反論で、歯科医氏のお母様(訓子(のりこ)さん)と同名の元教師の方が、「将来、教師として立派な人間になるように」との願いを込めて名付けて下さったお父様への感謝や、命名者の愛情が凝縮された名前が自らにとっての宝物である……といった思いを綴っておられ、非常に共感出来る内容であった。
しかし、ここでもまた、5日に掲載された中学生の「馥」さんの「自分の名前に自信をもとう」と同様、恐らくはあの歯科医氏が想像しておられなかったであろう多少の誤解があるのではないか……と感じてしまった。矢張り、医療の現場におられる歯科医氏が、患者さんの個人情報である「難読名前の実例」を特に挙げておられなかったことで、意図とは異なる受け止め方をされてしまったのでは……という気がする。
多分――あの歯科医氏が仰言りたかった“外国人名に漢字を当てたもの、こじつけめいたもの、「どう考えてもこうは読めないだろう」と首をかしげたくなる読ませ方のもの”の実例を想像するならば、恐らくは「塁主(ルイス)」「美々杏(ビビアン)」「貴亜縫(キアヌ)」「明有里(メアリ)」「飛翔(かける)」「煌輝(ひかる)」「百合子(りりす)」「聖夜(のえる)」「宇宙(こすも)」「月(るな)」「太陽(そる)」「疾風(げいる)」――のような、まるで「どう読むのか当てたら偉い」とでも言われているかのような「難しい読み方を相手に強いる」ものであったのでは……と思われる。
無論、外国人名に漢字を当てたものでも、例えば森鴎外が子らに名付けた「於菟」「茉莉」「杏奴」「不律」「類」などは、命名者の願いも推し量れ、読む側の立場にも立った良い名前であると思うし、江戸川乱歩という筆名なども、語呂合わせの洒落っ気と同時に、同分野の作品を書いた海外の大先輩に対する、深い敬愛や追想の気分も感じられて「うまく付けたなぁ……」と心地良い。
しかし、難読名前を批判された歯科医氏や、それに反論された「馥」さん「訓子」さんや、その命名者であられる方々の、「名前」に対する真摯な思いと、我が子に「宇宙(こすも)くん」「月(るな)ちゃん」と名付け、周囲にそう読ませて満足しているその親たちの思いとは、根本的な部分に違いがある気がしてならない。
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