うすむらさきの花と九度目の五月十日
やっと――「塩沢さんの花」だと思われる花の記事を見つけた。
7年前の今頃から、家の回りでいきなり咲き始めた、名も知らぬうすむらさきの花……。
花はトキワハゼに似ているが、斑点がなく、茎は直立――特徴や開花時期を手掛かりに、図鑑や歳時記などをかなり調べてみたが、名前はおろか写真を見つけることさえ出来ず、仕方なく、仮に「塩沢さんの花」と呼び、毎年のように一入の思いを持って親しんで来た、あの花である。
写真を見る限り、九割九分九厘、間違いはない。
花名は「マツバウンラン」――「松葉海蘭」と書くそうで、「海蘭に似ている」ことから命名されたと言う。
恥ずかしながら、海蘭という花のことはまだ知らない。しかし、名前の部分に「海」という漢字を認めた時には、本当に驚いてしまった。
塩沢さんと「海」と言えば……お名前からも、役柄からも、ご趣味からも、また、声の響きからも容易に連想出来る上に、今のお名前の一字にも採られている、それこそ“何より特別な文字”である。
一件以来の――自分ではどうすることも出来なかった私の心を、こよなく慰めてくれていたこの花が、まさか、海にゆかりの名を持つ花であったとは……。
ごく個人的な印象から来るものとは言え、偶然と呼ぶには余りに符合する所が多く、ただ驚くばかりである。(一部の方々には「そら、ひつじの仕業でしょ☆」とご理解戴けるかとは思うが……)
所で、昨日――9年目の「あの日」は、頗る不可思議な一日となった。
例年通り、奥様に宛ててお花もお送りしていたし、当日になったら、またあのペンダントを着けて、知人らにメールを送ったり、HPに何か書いたり……そういったことをしようか、と、ぼんやりと決めて迎えた筈であったのだが……。
日曜日であったこともあるのだろうか。朝、目が醒めて、常の休日のように、洗濯をして掃除をして料理をして買物をして片付けをしてパソコンを触って……はっと気がついたのは、夜の11時半過ぎのことであった。
「10日や!! ○○ちゃんにもメールしてない!!」
前日までは、確かにはっきりと意識していたのに……。
昨年、MIQさんのライブに参加したお蔭で、8年ぶりに涙を流せるようになって……矢張り、この一年のうちに、私の中で何かが変わったのは確かなようである。
もしかしたら……これで、塩沢さんも、漸くほっとして下さっただろうか……。
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