上坂冬子さんの訃報に思うこと
上坂冬子さんが亡くなった。数あるノンフィクション作家・評論家の中で、最も尊敬し憧れていた方であり、まだまだお元気で活躍して下さるものとばかり思っていただけに、衝撃は大きい。訃報を知ったのは今日の朝刊であったが、亡くなられたのは14日。78歳であったという。
以前、田辺聖子さんが「一度はお会いしたい女性」の一人として、上坂さんを挙げておられたのを読んだことがある。私も、一度くらいは講演会に行ってみたいと思っていたのだが、果たせないままになってしまった。
ファンと言える程には読み込んでいないのだが、精力的で丁寧で綿密な取材に裏打ちされ、冷静に纏められたノンフィクションの数々は、重い主題が扱われているものであっても、どこか読んでいて清々しさえ感じられるものがあったし、その厳しくもユーモラスな日常を垣間見ることの出来る随筆にも、随分と楽しませて戴いた。東京ローズ、九大医学部の生体解剖事件、川島芳子、奄美大島の被爆女性たち、原発問題、北方領土問題、ほか、『おんなの世渡り』『一度は有る事』『冬子の兵法愛子の忍法』『私の人生 私の昭和史』等々が、今、ぱっと思い浮かぶ。
お母さまの交通事故死をめぐる『一度は有る事』がTBSでドラマ化されたのは、もう四半世紀も前のことであるが、上坂さん役が白川由美さん、末の弟さん役が江藤潤さんであったことを覚えている。当時見た上坂さんのお写真と、白川さんのイメージが正にぴったりであった。
かなりお年を召して来られてからのお写真を見て、「植田(紳爾)先生に似て来られた」――という、極めて個人的な印象を抱き、それで返って一方的に親近感を増幅させたこともあるのだが、最近、新聞で見るお写真では、和服姿に真っ白な髪が非常に素敵に映っていた。
少し前に、曽野綾子さんとの対談集が海竜社から出たと知って、早速、出入りの書店さんに発注を掛けたのに、品切れとのことで入手出来ず、再発注したばかりであった。
産経新聞の「正論」やコラムなどに時折書いておられたが、そうしたお仕事が少なくなっているようなのは、講演や様々な運動がお忙しいからなのだろうか……と、勝手に想像していたら、実は、4年前に卵巣癌の手術をされ、昨年再発して入院され、小学館の《SAPIO》に闘病記を連載しておられたと言う……。
心から、ご冥福をお祈りしたいと思う。






















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