「四つの『パラサイト・イヴ』」を巡るあれこれ・その三
ラジオドラマは、1995年10月10日から12月8日まで、TBSラジオで月曜日から金曜日の「角川ドラマ・ルネッサンス」枠にて、全44話に渡る連続ドラマとして放送された。再録版CDは、翌1996年4月25日に『ドラマCD パラサイト・イヴ 上巻』(第1話~第23話収録/3枚組)が、同5月25日に『ドラマCD パラサイト・イヴ 下巻』(第24話から第44話収録/3枚組)が、ポリスターから発売されているほか、同内容のCDブックも角川書店から同時発売されている。
このラジオドラマ版の特徴を一言で述べるならば、音声のみで構成される放送劇としての長所や利点を最大限に生かしつつ、より効果ある新しい挿話を随所に加えながら、決して原作の持つ独特の雰囲気を損なうことなく、全体として無理も破綻もない一つの独立した作品として仕上がっている――といった所ではないかと思う。原作付き作品として見ても、一個のオーディオドラマとして見ても、極めて完成度の高い成功作であると言えるだろう。(私の中では、あのNHKの『宮本武蔵』レベルの完成度、と位置づけられている)
全44回・344分に及ぶ長丁場にも関わらず、物語は決して中弛みするようなことなく、最後までぴんと張りつめた緊張感を保って淀みなく展開して行く。脚色の際に追加された、より劇的な新しい挿話や更に膨らみを増した各人物像なども、如何にも的確で何の違和感も感じさせない、本当に自然な仕上がりになっている。
配役もまた、この作品の成功の一端を担った重要な要素であると言っても過言ではない。まさに適役揃いの上に、声の演技に長けた人材が贅沢な位に集められ、最後まで安心して聞いていられるお蔭で、作品世界に集中してどっぷりと浸ることが出来る……これは、非常に大切なことであると思う。
決して、「最初に接したものが一番良いように思われる」ものである――といった単純な理由から来るものではない。原作のある放送劇としての、作品自体の完成度の高さそのものが、素直にこれだけ褒め上げたくなってしまうだけの大きな感動と満足感を与えてくれるのである。
余談であるが、このラジオドラマは、夜、お布団に入って暗い中で一人で聞くのが最も相応しいような気がする。ドラマ自体にじっと集中して耳を傾けることが出来、例えば、ぺたん、ぺたん……と迫り来るイヴの恐怖を、より増幅させた状態で感じることが出来るように思うからである。
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