十五年目にして初めて知った『ブラックホール』と『紅の豚』の接点
先日、教員希望で納品された『紅の豚』のサウンドトラックCDの装備が完了したので、ちょうど蔵書点検期間で閉館中でもあるし、カウンター内のステレオコンポで視聴しながら作業しようということになり、劇場公開から実に十五年目にして、初めてその音楽世界に触れる機会を得たのであるが……ここで、思わぬ発見(?)があったので、少し書いてみる。(因みに、開館時には常に、このコンポでクラシック曲を掛けることになっている。無論、カウンター周辺にそれとなく広がる程度の音量で、である)
私が「妙な臍曲げ」をして、宮崎作品から遠ざかることになったのは、ちょうどこの『紅の豚』の制作発表があった翌月であったから、その作品絡みの音楽を聞くのは、実に『魔女の宅急便』以来のことになる。所が、この音盤をほぼ半分以上聞き進めた時、突然、余りにも聞き覚えのある曲が流れ始めたので、思わず仕事の手を止めてしまった。
それは、かつてNHK-FMで放送されていた『ブラックホール』というラジオドラマで、毎回エンディング・クレジットの背景に流れていた曲であった。慌ててジャケットを確認してみると、トラック14番の「狂気―飛翔―」という曲である。実際の作品の中でも使われた曲であるかどうかまではまだ調べていないのだが、これには本当に驚いた。
『ブラックホール』は、ラジオドラマ枠「特集・ダミーヘッドの青春アドベンチャー」の中で2週に渡って放送された短編のオリジナルドラマ(脚本担当は宮崎由香さんと綾瀬麦彦さん)で、現代社会や未来社会を舞台に繰り広げられる独特の恐怖の世界が15分ずつ全10編の作品にまとめられており、そのうちの4編に塩沢さんが出ておられたので、苦手な部類の作品ではあったが欠かさず録音して聞いていたのである。
『紅の豚』の劇場封切日は1992年7月18日土曜日、『ブラックホール』の放送は1992年7月6日~7月17日の月曜日~金曜日であったから……つまり、この「狂気―飛翔―」という曲だけは、『紅の豚』の公開よりも「ほんの一足だけ先」に、公の電波に乗って世間に流れていたことになる。
既に周知の事実であったことに、今頃になって初めて気づいて一人で驚いているだけの話ではあろうが……自分でもそれと知らずに耳にして記憶していた音楽の、その意外な来歴を思わぬ形で知ることになって、少なからず面白い気分が味わえた出来事であった。
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